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2008.05.05  朝の楽しみが無くなった

 私は眠りが浅く、いつも目覚ましがなる前に目が覚めることが多いのです。最近は6時近くまで眠れますが、以前は4時とか4時半とかに目が覚めてしまいそれきり眠れず、布団の中で時間がたつのを待つという生活を何年もしていました。
 10年位前までは、布団の中にいてもとても楽かったのです。それは、夜明け近くなるといろいろな鳥があちこちで鳴いていて、それを聞いているのが幸せでした。自宅は三鷹市にあるのですが、郭公やほととぎす、山鳩など、遠くに近くに聞こえ、それを聞いているだけで時のたつのを忘れるほどでした。
 私の生まれは松本市で、東京から見たらはるかに田舎なのですが、市街地でしたので、鳥の声と言ったら雀だけ。それも屋根に止まっている数羽の雀の声だけでした。早起きすると空の上の方でカラスが3~4羽のどかに「カァ・カァ」と鳴きながら飛んでいる姿が見えるくらいでした。
それが、都会の東京でカッコウやほととずきの声が聞こえたら感動です。
 毎朝早く目が覚めていた頃、雀には朝と夕方ミーティングがあるという事を知りました。 
 夕方のミーティングは小学生のころ、夕方までグランドで遊んでいると、1つの木にたくさんの雀が集まって騒がしくさえずり、しばらくするとさっといなくなってしまうという経験がありましたが、朝もそうだとは知りませんでした。
 ところが東京に来て夏の朝4時半頃に近くの木に雀が集まり、とても騒がしく囀りあい、まるで情報交換をしているようでした。そんな状態が10分くらい続いたと思ったら、さっと静かになってしまう。そのミーティングに耳を澄ますのも楽しみでした。
 しかし、税制が変わり、今まで使わない土地は「市」などに貸せて、それを空き地として開放していたため、大きな木もたくさんあったのに、そんな土地にまで税金がかかるようになり、地主さんは、そんならただで「市」に貸せるより売ってしまえということになるらしく、次々と土地が売られ、家がどんどん建ってしまいました。そして、そこにあった郭公の住処やホトトギスの居場所がなくなってしまい、ある日から、全くこれらの鳥の声が聞こえなくなりました。
 その位から、山に餌がなくなった烏が、今まで上空で鳴いていただけだったのに、地上に降りてゴミを漁るようになり、雀の姿もそれとともに消えていきました。
 昔は電線に雀が何羽も止まっている景色は日常の景色でしたが、雀に代わってカラスが電線に何羽も止まっている光景に変わりました。もちろん、雀のミーティングなんて全くなくなりました。最近は電線に雀が止まっているなんて珍しいことになってしまいました。
 本当に寂しいことです。
 今は朝早く目が覚めても、小鳥の声などほとんど聞こえず、たまに聞きなれない小鳥の声が通り過ぎていくだけです。
 早く起きても何の楽しみもありません。もう、あんなひと時を望むことはできないのです。
怒りと悲しみが湧いてきます。失ったものの大きさを感じます。

松本整体 久保田昇子

投稿者 matsumoto (16:47) | PermaLink
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